はない。併しひめ[#「ひめ」に傍線]乃至ひこ[#「ひこ」に傍線]と言つた語が、敬語といふ意識を以てはじめから使はれてゐたか、どうかは問題である。神聖な資格を示す名であつたのが、次第に敬意を孕み出したのであるから、古くは自ら別途の意義を表してゐたものと考へてよい。語頭にひこ[#「ひこ」は太字]の遺つた例は、之に比べると、極めて豊富である。

     九 彦の論

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ひこ・くにぶく(彦国葺)
ひこ・さしり(彦狭知神)
ひこ・いつせ(彦五瀬命)
ひこ・ます[#(ノ)]王《ミコ》(彦坐王)
      ┌   [#(ノ)]主┐
ひこ・さしま│彦狭島       │
      └   [#(ノ)]神┘
ひこ・ほゝでみ(彦火々出見[#(ノ)]命)
ほゝでみ(火々出見命)
あまつひこね(天津彦根命)
あまつひこねほのにゝぎ(天津彦根火瓊々杵尊)
あまつひこひこほのにゝぎ(天津彦々火瓊々杵尊)
かむやまといはれひこほゝでみ(神日本磐余彦火々出見天皇)
ひこなぎさたけうがやふきあへず(彦波瀲武※[#「顱のへん+鳥」、第3水準1−94−73]※[#「茲+鳥」、第3水準1−94−6
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