ら、まづ皇子の生活を説くのが適当だらうと思ふ。唯私はこゝで、上古史を語るつもりはないのだから、ほんの輪廓を書くだけに止めることの諒解を得たい。
みこ[#「みこ」に傍線]生れ給ふと共に、産湯の儀式を行ふ。其際に、其みこ[#「みこ」に傍線]の一生に関聯深い壬生部《ミブベ》と言ふ部曲――聖職団体――が定まる。其々のみこ[#「みこ」に傍線]の扶育・教養・保護|凡《およそ》すべて其一代を守り申す壬生《ミブ》職なる家族――氏――の下にあつて、其みこ[#「みこ」に傍線]の一代を通じて奉仕し、更に他界の後、其みこ[#「みこ」に傍線]の、此世にあつたことの記念の団体として残つたのである。だから、壬生部は多く、壬生氏《ミブウヂ》が、其所属の部曲民の一部を割いて、みこ[#「みこ」に傍線]に附けたものである。之を、形式的に公認する様な形になり、宮廷から定められたものゝ様子も見えたのである。元々、さうした表向きのものではなかつたと思はれる。かう言ふ深い交渉が、みこ[#「みこ」に傍線]の一生涯と、其れ/″\の壬生氏との間に起つた原因は、多く母方の関係があつたものであらうが、後漸くその家の女をめあはす[#「めあはす
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