な演劇は、受け方が動物であることがあり、又、巫女の様な姿を取る様にもなる。但、普通の形式は、力人と言つた形をとつたものらしい。ひこほゝでみの[#「ひこほゝでみの」に傍線]尊に対する海幸彦、たけみかづちの[#「たけみかづちの」に傍線]命に対するたけみなかたの[#「たけみなかたの」に傍線]神であり、又野見宿禰に対しての、当麻《タギマ》[#(ノ)]蹶速《クヱハヤ》の如き姿である。勿論、古代の詞章の内容を現実化する手段として、その意味を副演すると言つた風の事も、勿論あつた事は思はれる。が、わが詞章は本質的に、のりと[#「のりと」に傍線]・よごと[#「よごと」に傍線]風の対立を見るのだから、必のりと[#「のりと」に傍線]方と、よごと[#「よごと」に傍線]方に分れるものと見てよい。だから、争ひの形からはじまつて、奏寿・誓約に結着したのである。
よごと[#「よごと」に傍線]方なる相手を女性化する様になると、黄泉大《ヨモツオホ》神の娘・大山|祇《ツミ》の娘・わたつみの娘など言つた形になり、又男神を逐ふ女神――播磨風土記――といふ姿を採るのだ。其が低くは、村々の巫女と謂つた姿をとる。恐らく、西洋古国の聖
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