の神に奉仕するものは、多く国々から召された者の為事となつた。此さへも、時代によつて其階級観に移動があつた。もと汎称的に、而も高い意味に用ゐた諸国の大巫女なる采女が、後には低く考へられた。併し、もと、宮廷には、最高の巫女の外に、家々から奉られた巫女、国々から奉られた巫女が多かつた。其中、神事にたづさはつてゐる者よりも、神なる人に接近してゐる者の方が、位置を高めて来た。即、此意味において、王氏の女よりも、他氏の女の方が、後宮に高い位置を獲るに到つたのだ。更に低いもので見れば、采女であつた女官の中から、女房なる神事以外の奉仕者が現れて来、聖職に与る者は、其下に置かれる様になつた。此は、略《ほぼ》、平安朝初期に起つた信仰の変化である。
王氏の高級巫女に就いては、種々な伝承はあるが、其中斎宮に関するものは、倭媛[#(ノ)]皇女が、宮地を覓めて歩かれた物語が、同時に歴代斎宮の群行の形式を規定してゐる。かうした色々の過去の事実と信ぜられたものが、高級巫女の掟となつた。さうした掟を感得せしめ、聖なる人格を作らせる者があつたのである。其最著しく職業意識を生じたものが、一つの部曲を形づくつた。其存在した処
前へ
次へ
全69ページ中46ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング