久米部[#(ノ)]小楯の為に遊び歌はれた二皇子の伝説の如きものが、其適例を示してゐる。殊に其末に、殊舞をなすとあるのは、侏舞の通用或は誤字である。此につけたたづゝまひ[#「たづゝまひ」に傍線]なる訓註を「立ちつ居つの舞」の義に説いてゐるのは誤解であらう。日本紀では、二小皇子の歌舞を複雑に伝へてゐる。此点に於いて、小舎人・侏儒の芸能の様々な種目のあつたことが考へられる。
侏儒の起原を説くものらしい少彦名[#(ノ)]命に就いても、其常世の国に対する事と共に説かねばならぬ部分が多い。

     六 巫女から女房へ

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天皇賜[#二]志斐嫗[#一]御歌一首
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不聴跡雖云、強流志斐能我強語 比者不聴而、朕恋爾家里
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志斐嫗奉[#レ]和歌一首
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不聴雖謂、話礼話礼常詔許曾、志斐伊波奏。強話登言(万葉集)
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実の処、私の古い考へでは、日本文学の源を、専、巫女の託宣に置いてゐた。又、其程、重要な位置を信仰上に占めてゐたのだ。けれども、託宣は遅れて発達してゐるもので、文学の発生時代に置く事は
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