て、大嘗祭の話に這入りたい。
大嘗祭は、古くはおほむべまつり[#「おほむべまつり」に傍線]と言うて居る。おほんべ[#「おほんべ」に傍線]即、大嘗に就ては、次の新嘗・大嘗の処で話す事にして、此処では、まづまつり[#「まつり」に傍線]の語源を調べて見る事にする。此まつり[#「まつり」に傍線]といふ語がよく訣らぬと、上代の文献を見ても、解決のつかぬ事が多い。
まつりごと[#「まつりごと」に傍線]とは、政といふ事ではなく、朝廷の公事全体を斥して言ふ。譬へば、食国政・御命購政などゝ言ふし、平安朝になつても、検非違使庁の着駄《チヤクダ》の政などいふ例もある。着駄《チヤクダ》といふのは、首枷《クビカセ》を著ける義で、謂はゞ、庁の行事始めと言つた形のものである。ともかくも、まつり[#「まつり」に傍線]・まつりごと[#「まつりごと」に傍線]は、其用語例から見ると、昔から為来《シキタ》りある行事、といふ意味に用ゐられて居る。
私は、まつる[#「まつる」に傍線]・またす[#「またす」に傍線]といふ言葉は、対句をなして居て、自ら為る事をまつる[#「まつる」に傍線]と謂ひ、人をして為さしむる事をば、またす[#「
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