り、神を汚すことだと、さういつた考へを持つてゐたことが、根本の誤りだつたらうと思はれるのです。だからどうしてもわれ/\は、こゝにおいて神道が宗教として新しく復活して現れて来るのを、情熱を深めて仰ぎ望むべきだと思ひます。
たゞわれ/\の情熱だけで、宗教を出現させることの出来るものでもありません。宗教には何よりもまづ、自覚者が出現せねばなりません。神をば感じる人が出なければ、千部万部の経典や、それに相当する神学が組織せられてゐても、意味がありません。いくらわれ/\がきびしく待ち望んだところで、さういふ人がさういふ状態に入るといふことは、必しも起つて来ることでもありません。しかし、たゞわれ/\がさうした心構へにおいて、百人・千人、或は万人、多数の人間が憧憬をし、憧れてゐたら、遂にはさういふ神を感得する人が現れて来るだらう、おそらくさういふ宗教が実現して来るだらうと信じます。
其ばかりではない。おそらく最近に、教養の高い人の中から、きつと神道宗教の自覚者をば出すことになるだらうと思ひます。それには、われ/\は深い省みと強い感情とをもつて、われ/\自身の心から、われ/\自身の肉体から、迸り出るや
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