神道の新しい方向
折口信夫
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)聖何某《セントナニガシ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)あめりか[#「あめりか」に傍線]の
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)われ/\は
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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昭和二十年の夏のことでした。
まさか、終戦のみじめな事実が、日々刻々に近寄つてゐようとは考へもつきませんでしたが、その或日、ふつと或啓示が胸に浮んで来るやうな気持ちがして、愕然と致しました。それは、あめりか[#「あめりか」に傍線]の青年たちがひよつとすると、あのえるされむ[#「えるされむ」に傍線]を回復するためにあれだけの努力を費した、十字軍における彼らの祖先の情熱をもつて、この戦争に努力してゐるのではなからうか、もしさうだつたら、われ/\は、この戦争に勝ち目があるだらうかといふ、静かな反省が起つて来ました。
けれども、静かだとはいふものゝ、われ/\の情熱は、まさにその時烈しく沸つてをりました。しかしわれ/\は、どうしても不安で/\なりませんで
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