の信仰を受けてをられたかといふことを、よく考へて見る必要があるのです。千年以来、神社教信仰の下火の時代が続いてゐたのです。例をとつて言へば、ぎりしや[#「ぎりしや」に傍線]・ろうま[#「ろうま」に傍線]における「神々の死」といつた年代が、千年以上続いてゐたと思はねばならぬのです。
仏教の信仰のために、日本の神は、その擁護神として存在したこと、欧洲の古代神の「聖何某《セントナニガシ》」といふやうな名で習合存続したやうなものであります。
われ/\は、日本の神々を、宗教の上に[#「宗教の上に」に傍点]復活させて、千年以来の神の軛《クビキ》から解放してさし上げなければならぬのです。こゝに新しい信徒に向つては、初めてそれらを呼び醒さなければならないでせう。とにかくさうしなければ、日本の只今のかういふ風に堕落しきつたやうな、あらゆる礼譲、あらゆる美しい習慣を失つてしまつた世の中は救ふことが出来ません。また、そればかりではありません。日本精神を云々する人々の根本の方針に誤つた処が、もしあつたとしたなら、この宗教を失つてゐた――宗教を考へることをしなかつた――、宗教をば、神道の上に考へることが罪悪であ
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