風に解決しようとするのか、神を汚すことの甚しいものとして、非常に残念に感じ、危く悲憤の涙をこぼすばかりに感じました。
かういふあり様だから、神々に背かれたのです。しかし今、冷やかになつて考へます反省は、日本のこれから後に現れて来る宗教上の神の実体といふものが、そこに示されてゐるのだといふことです。天照大神、或は天御中主神、それらの神々の間に漂蕩し、棚引いてゐる一種の宗教的な或性質の、混じてゐるところの神なるものが、暗示してゐるのではないかといふことです。
只今になつて、さう考へるのです。其はかういふことです。日本の信仰の中には、他国に多少その要素があつても、日本的にまた世界的にも、特殊であり、すべてに宗教から自由なものと言つていゝものゝあることです。
それは、高皇産霊神・神皇産霊神と言つてゐる――、あの産霊神の信仰です。字は、産むの「産」、たましひの「霊」で、魂を産むといふ風に宛てられてゐますが――、神自身の信仰はさうでなく、生きる力を持つた体中へ、魂をば植ゑつける、或は生命のない物質の中へ魂をば入れる、さうすると魂が発育するとともに、それを容れてゐる物質が、だん/\育つて来る。物質も
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