、いつも亭主側からは問題として眺められた訣であらう。事実はそんなにまで、極端ではなかつたらうと思はれるが、其俤を伝へる物語は、この秘密の尊重と言ふ点に、足場を据ゑてゐる。此に、信仰の段々純化せられて来た時代の考へ方を入れて、説明すると訣り易い。
妻が其「本の国」の神に事へる物忌みの期間は、夫にも窺はせない。若し此誓ひを夫が破ると、めをと仲は、即座にこはれてしまふ。見るなと言はれた約束に反いた夫の垣間見が、とんだ破局を導いた話は、子どもが家庭生活をこはした物語同様、数へきれない程にある。
垂仁天皇の皇子ほむちわけ[#「ほむちわけ」に傍線]が、出雲国造の娘ひなが媛[#「ひなが媛」に傍線]の許に始めて泊つて、其様子を隙見すると、をろち[#「をろち」に傍線]の姿になつて居たので遁げ出すと、媛の蛇は海原を照して追うて来たとある。此話に出産の悩みをとり込んだのが、海神の娘とよたま媛[#「とよたま媛」に傍線]が八尋鰐或は、龍になつたと言ふ物語である。此まで重く見られた産の為とする考へは、寧、後につき添うた説明である。
おなじ事はいざなぎの命[#「いざなぎの命」に傍線]・いざなみの命[#「いざなみの命
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