炉をこんじん[#「こんじん」に傍線](古風には、かんじん[#「かんじん」に傍線]と発音する)と言ふ。祖先かと言へば、祖先でもなく、村の神かと思へば、村の神でもない。唯知れて居るのは、母から娘へ、順ぐりに譲つて行く神だと言ふだけである。恐らく、罔極の世の母から、分け伝へて来た神かと思はれる。亭主にも、息子にも拝ませないで、女ばかりの事《つか》へる神が、沖縄の家庭にはある事になるのである。琉球の神人《カミビト》は悉く女性ではあるが、拝む事は、男も勿論するのである。にも係らず、男の与らぬ神の存在は、どう言ふ事を示してゐるのであらう。
村々の生活を規定する原理なる庶物は、てん/″\に違うて居た。尠くともお互に異なる原動力の下に在るものと考へて居た。かう言ふ時代の村と村との間に、族外結婚が行はれるとすれば、男の村へ連れて来られた女は、かはつた生活様式を、男の家庭へ持ちこむ事になる。ほかの点では妥協しても、信仰がゝつた側の生活は、容易に調子をあはせる訣にはいかなかつたであらう。其に、神とも精霊とも、名をつける事は出来ないでも、根本調子となつてゐる信仰が、一つ家に並び行はれて居る場合、妻の信仰生活は
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