信太妻の話
折口信夫
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)信太《シノダ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)森|女占《ヲンナウラカタ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「竹かんむり/甫/皿」、第3水準1−89−74]
[#(…)]:訓点送り仮名
(例)安倍[#(ノ)]安名
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)行き/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
一
今から二十年も前、特に青年らしい感傷に耽りがちであつた当時、私の通つて居た学校が、靖国神社の近くにあつた。それで招魂祭にはよく、時間の間を見ては、行き/\したものだ。今もあるやうに、其頃からあの馬場の北側には、猿芝居がかゝつてゐた。ある時這入つて見ると「葛の葉の子別れ」といふのをしてゐる。猿廻しが大した節廻しもなく、さうした場面の抒情的な地の文を謡ふに連れて、葛の葉狐に扮した猿が、右顧左眄の身ぶりをする。
「あ
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