ていたのらしい。変った考えでは、みつは[#「みつは」に傍線]は水走で、禊《みそ》ぎの水の迸《ほとばし》る様だとするのもある。
 みぬま[#「みぬま」に傍線]・みつは[#「みつは」に傍線]、おなじ語に相違ない。それに若さの形容がつき纏《まと》うている。だが神賀詞に比べると「出居[#「居」に白丸傍点]」という語が「水葉」の用法を自由にしている。動物・人間ともとれる言い方である。ただそうすれば、みつは[#「みつは」に傍線]云々の句に、呪詞なり叙事詩なりの知識が、予約せられていると見ねばならぬ。それにしても、この表記法では、すでに固定して、記録時代の理会が加っているものと言えよう。
 この二つの詞章の間に通じている、一つの事実だけは、やっと知れる。それはこの語が禊ぎに関聯したものなることである。みぬま[#「みぬま」に傍線]・みつは[#「みつは」に傍線]と言い、その若いように、若くなるといった考え方を持っていたらしいとも言える。古代の禊ぎの方式には、重大な条件であったことで、夙《はや》く行われなくなった部分があったのだ。詞章は変改を重ねながら、固定を合理化してゆく。みつは[#「みつは」に傍線]・
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