おほゝどのみこ」に傍線]の家に出た水の女の兄媛・弟媛だったことを示すのだ。
だが、衣通媛の名代は、紀には藤原部としている。藤原の名が、水神に縁深い地名であり、家の名・団体の名にもなって、かならずしも飛鳥の岡の地に限らなかったことを見せる。ふぢ[#「ふぢ」に傍線]はふち[#「ふち」に傍線]と一つで「淵《フチ》」と固定して残った古語である。かむはたとべ[#「かむはたとべ」に傍線]の親は、山背[#(ノ)]大国[#(ノ)]不遅(記には、大国之淵)であった。水神を意味するのが古い用語例ではないか。ふかぶちのみづやればなの神[#「ふかぶちのみづやればなの神」に傍線]・しこぶち[#「しこぶち」に傍線]などから貴《ムチ》・尊《ムチ》なども、水神に絡んだ名前らしく思われる。神聖な泉があれば、そこには、ふち[#「ふち」に傍線]のいる淵があるものと見て、川谷に縁のない場処なら、ふちはら[#「ふちはら」に傍線]と言うたのであろう。
みづのをひも[#「みづのをひも」に傍線]のみづ[#「みづ」に傍線]は瑞《ミヅ》と考えられそうである。だが、それよりもまだ原義がある。このみづ[#「みづ」に傍線]は「水」という語
前へ
次へ
全51ページ中35ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング