からである。「朝妻のひかのをさか」などいふのも、ひかゞみ[#「ひかゞみ」に傍線]から、をさ[#「をさ」に傍線]を引き出すので、をさ[#「をさ」に傍線]は足自由でなく、坐て用を足す者を言ふのである。「朝妻」は婢なるが故に、家にゐさせて、朝までもまく[#「まく」に傍線]故であらう。井光《ヰヒカ》の「ひか」も、其らしい。ひか[#「ひか」に傍線]の音転がひな[#「ひな」に傍線]で、夷の住居地方に当る。とねり[#「とねり」に傍線]は、をさ[#「をさ」に傍線]と同じ語原のとね[#「とね」に傍線]即、外根からの刀禰と、「折り」か「坐《ヲ》り」の融合したものらしい。采女は采女部の義で、うね[#「うね」に傍線]は、内刀自で、内舎人の古い形なのだらう。はやひと[#「はやひと」に傍線]は、駈使丁としての名で、早足の人であらう。隼は、宛て字だらう。ひと[#「ひと」に傍線]のと[#「と」に傍線]は、足くびから下を斥すか。神の用の脚夫で、神聖(ひ)な足の所有者であるらしい。隼人は、速足の聖奴の義らしい。寺人・神人皆奴婢の意を含んだ語である。海人《アマヒト》部・山人《ヤマヒト》部も、其だ。駈使丁を宮中に用ゐるのは、
前へ
次へ
全20ページ中9ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング