じて、後世、何織・織何といふ名が多い。扇をり[#「をり」に傍線]・小萩などは、其俤を見せてゐる。織女の聯想ではない。よをり[#「よをり」に傍線]のをり[#「をり」に傍線]も、折り伏して、齢を奉る義か。たよ[#「たよ」に傍線]は膕のよ[#「よ」に傍線]で、よ[#「よ」に傍線]を折つての義だ。五節も、五節折の折を避けたのだらう。脚の膕を五度折つて、鎮魂の義を奏する事らしい。
太陽井の話。井水の汲み難い平野地の話から、海岸水辺の物語に移るのだ。安寿の汐汲みなどは、後だ。
播磨風土記の萩原里は、萩井原の里の筈であつた。一夜、萩に絡んで、処女の死んだ話が、伴うてゐる。
「萩が花妻」も、古語だが、小脛の女の聯想で、女の奴婢の、色を以て仕へた処から出た語で、後には、唯の萩となり、鹿の配偶の様に考へられる事になつたらう。
廻りあうても知らぬのは、異形身だけでなく、よみ[#「よみ」に傍線]の所属の人を連れる事の出来ぬ為だ。
健児なども、こむらびと[#「こむらびと」に傍線]などではないか。字音としては、過ぎる。
ひかゞみ[#「ひかゞみ」に傍線]なども、びっこ[#「びっこ」に傍線]の語原らしい。膕の筋を抜く
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