、近江にも関係を持ち、又、相摸川にも移つたのだ。
当麻と水と関係の尠いのは、後入故か。
箱根の話が、相摸川の話と関係あることは勿論、此方が古い様だ。初花の名も、歌念仏に関係あらう。
小栗の毒飼ひは、食物による異形身の説明である。
小栗も蛇身に関係あるは、神泉苑の蛇と契つた為の流離だ。
 此は、本筋に関係のなさゝうな古い形の物語である。
其と共に、馬術を得たのだ。こゝに蛇身の形が見える。
蛇身の女と契ることは、水の女の故事にも関係がある。
小栗では、下界談は短い。現世における異形持続・遠路巡遊に変つてゐる。
常陸小萩の名と、奴隷と。
小枝・小萩・中将・少将・桂姫・初花・安寿・きく丸などの出自。
袖萩・小萩の名の固定と、女被官の通称。実名の唱へ替への源。采女。
八束小脛と、舎人生活と。都方に仕へた風の印象(狐飛脚の死)。他郷異形の者と見るか。
常陸・尾張両小萩とも、やきがね[#「やきがね」に傍線]攻めにあふのは、奴隷のしるし[#「しるし」に傍線]をつけたのだ。同時に、八束小脛の翼なども、遁走を避ける為の筋や、踝の辺に、細工したなごりであらう。
えだ[#「えだ」に傍線]を下女とし、えたとする
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