王子巡拝の最初を示すのだ。
其は、王子斎祀の地点定まらぬ、昔を語るのが元だ。三島郡の小栗の社。
車引き。景事全盛時代の色あげ。
熊野参詣道中の歌。
千引き系統の恋人に牽かれる話の種。万屋の門で動かなくなつたのだ。
千引きの巫女姿。
木やり・石挽き・たゝら唄・どうづき唄。
石挽きと、穴太役と。六条・名越と、たゝら[#「たゝら」に傍線]踊りと。
仏体勧進・仏像鋳造・開眼供養。
御手・御胴勧進の仏曳き。
来世を見て来た人の信仰。
来世から生れ替つて来た鳥・獣・人間の因果話。
来世話をする異形の病人。
此に代つて、物語る因果物師。
大和詞。
 浄るり十二段系統。
歌占巫女の語彙。
歌比丘尼の艶書代筆。
藤沢寺。
 大草紙の新しい書き入れ。
念仏を離れて、説経へ。
本地物の古態。
 初段、貴種流離の原因。
最後は人間として、栄える。
まだ、説経化しきらぬ物。
巫女祭文(山伏の手を通らぬ)。
 盲僧の説経。
神事舞ひの宣命。
 厩ぼめ及び示威。
後には、馬おさへを忘れて了ひ、巫女祭文の色濃くなる。
東国の人の物語からはじまつた。其後、熊野や藤沢がついてゐる。
念仏聖・神明巫女・歌比丘尼の熊野代参慫
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