た風は大津へ聞えて、大津はおんま(御馬か)つちのこ[#「つちのこ」に傍線]は槍持ち、能《ヨ》う槍持つて。……
[#ここで字下げ終わり]
前のは、川村氏の「さいごたかもり、はじめて東へ下るとて、蟹にきんたま挟まれて(郷土研究四の七)」に似て居り、後のは、南方氏の田辺へ聞えた、又は西の宮へ聞えたの唄(同一の二)と同じ趣きである。
一二 うしはきば
此は、美濃路から東方に亘つてゐると思はれる、馬捨て場と同じ意味の場処である。多くは池の堤や、村から入りこんだ小川の岸などで、大抵人の行かぬ場所にあつた。わりあひに神聖な処と考へられてゐる様である。死んだ牛の皮を剥ぐ場処の意で、はき[#「はき」に傍線]を清音に言ふ。河内辺に多い地名である。牛を剥ぎにはえたが来て、皮・肉などは貰うて帰るのださうである。馬を使ふ農家はないから、一村の為事に、馬といふ考へは這入つてゐないのである。
一三 名字
木津・難波には、本《モト》と言ふ字のつく姓がある。樽屋が樽本、下駄屋が桐本、材木屋が木元など、皆、其商品を此が資本だ、と言ふ積りで拵へたのである。此は木津に多い。
妙玄・法覚・法西・覚道
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