。よ[#「よ」に傍線]などもいつ[#「いつ」に傍線]と関係があるのだらう。よる[#「よる」に傍線]・よす[#「よす」に傍線]のよ[#「よ」に傍線]で、善《ヨ》であり、寿《ヨ》であり、穀《ヨ》である。常世のよ[#「よ」に傍線]も或は此かも知れぬ。よる[#「よる」に傍線]はいつ[#「いつ」に傍線]に対する再語根であらうか。少し横路に外れたが、前に回つて、をる[#「をる」に傍線]・をつ[#「をつ」に傍線]は同根であらう。かうして見ると、二三根の語が始めて一根の語を出して、又二三根の語を作る様である。いつ[#「いつ」に傍線]・うつ[#「うつ」に傍線]・すつ[#「すつ」に傍線]・いづ[#「いづ」に傍線]・ある[#「ある」に傍線]・ます[#「ます」に傍線]など皆同系の語であつたらしい。「をく」なども、をつ[#「をつ」に傍線]から出た逆用例であらう。

     六

さて、をつ[#「をつ」に傍線]はどうして繰り返す意を持つか。外来魂が来る毎に、世代交替する。さうして何の印象もなく、初めに出直すと見てゐたのが、段々時間の考へを容れた為、推移するものと観じて来た。出雲国造神賀詞の「彼方《ヲチカタ》の古
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