瓜子姫子《ウリコヒメコ》の瓜など皆、水によつて漂ひついた事になつてゐる。だが此は、常世から来た神の事をも含んであるのだ。瓢・うつぼ舟・無目堅間《マナシカタマ》などに入つて、漂ひ行く神の話に分れて行く。だから、何れ、行かずとも、他界の生を受ける為に、赫耶姫は竹の節間《ヨノナカ》に籠つてゐた。此籠つてゐる、異形身を受ける間の生活の記憶が人間のこもり[#「こもり」に傍線]・いみ[#「いみ」に傍線]となつた。いみや[#「いみや」に傍線]にひたやこもり[#「ひたやこもり」に傍線]することが、人から身を受ける道と考へられた。尚厳重なものは、衾に裹まれて、長くゐねばならなかつた。
かうした殻皮などの間にゐる間が死であつて、死によつて得るものは、外来のある力である。其威力が殻の中の屍に入ると、すでる[#「すでる」に傍線]といふ誕生様式をとつて、出現することになる。正確に言へば、外来威力の身に入るか入らぬかゞ境であるが、まづ殻をもつて、前後生活の岐れ目と言うてよい。だから別殊の生を得るのだ。一方時間的に連続させて考へる様になると、よみがへり[#「よみがへり」に傍線]と考へられるのである。すでる[#「すで
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