覧じ――。これかう――おわかりかえ。
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当麻語部[#(ノ)]姥の声である。だが、そんなことは、郎女には問題ではなかつた。
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おわかりなさるかえ。これかう――。
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姫の心はこだま[#「こだま」に傍点]の如く聡《さと》くなつて居た。此|才伎《てわざ》の経緯《ゆくたて》はすぐ呑み込まれた。
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織つてごらうじませ。
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姫が、高機に代つて入ると、尼は機蔭に身を倚せて立つた。
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はた はた ゆら ゆら
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音までが変つて澄み上つた。
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女鳥《めとり》の わがおほきみの織《おろ》す機。誰《た》が為《た》ねろかも――、御存じ及びで御座りませうなあ。昔、かう、機殿《はたどの》の※[#「片+總のつくり」、第3水準1−87−68]からのぞきこんで問はれたお方様がござりましたつけ。――その時、その貴い女性《によしやう》がの、
たか行くや 隼別《はやぶさわけ》の御被服科《みおすひがね》――さうお答へなされたとなう。
この中《ぢゆう》
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