びた事、そして村君の信仰の内容が易《かは》つた事。此にも、内わけが三つ程に考へられる。倭本村の神をとり入れるか、飜訳して垂跡風にした類(一)。弱い村・亡びた村の出《デ》であつても、新来神《イマキガミ》として畏敬せられた類(二)。同じ類にあげる事も出来る所の、道教の色あひを多分に持つた仏教(三)。此信仰の替り目に順応する事の出来なかつた地方では、段々「神々の死」がはじまつて来た。さうした神々のむくろ[#「むくろ」に傍線]を護りながら、他郷に対しては、一つの新神があると言ふ威力を利用して、本貫を脱け出す者が、後から/\と出た。従うて其信仰様式は、古くもあり、又本意を失うた固定をする事にもなつた。うかれ人[#「うかれ人」に傍線]の祀つた神が、平安中期以後の人々の目には、不思議な姿に映つたのも、一つは此為である。人形の事は、今までに発言の機会を逸して来たが、倭本村に深い関係を交錯してゐる村々の中で、古くから神の形代《カタシロ》なる人形を持つたものが、段々ある。倭の村にだつてなかつたとはきめられぬ。臨時に出来る神の形代が、段々意義を失うて、人の形代が多くなつて来る時代には、常住専ら偶人を斎《いつ
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