り[#「六 天語と卜部祭文との繋り」は中見出し]
名は神語《カムガタリ》・天語歌《アマガタリウタ》と区別してゐるが、此二つは、出自は一つで、様式も相通じたものである。唯天語歌の方が、幾分壊れた姿でないかと思はれる。而も却つて、神語の方に天語らしい痕跡が多い。
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いしたふや あまはせつかひ ことの語り詞《ゴト》も。此者《コヲバ》
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と言ふ形と、其拗曲した、
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ことの語り詞も。こをば
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と言ふのと、
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豊《トヨ》み酒《キ》たてまつらせ
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と乱《ヲサ》めるものと二つある。又此二つが重《かさな》つて、
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豊み酒たてまつらせ。ことの語り詞も。こをば
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となつたのなどがある。此から見ると、酒ほかひ[#「酒ほかひ」に傍線]の真言と、憤怨を鎮める呪文とには、共通の詞章や、曲節の用ゐられた事が考へられる。結婚の遂行は条件として、戦争とおなじく「霊争《モノアラソ》ひ」を要した古代には、名のり[#「名のり」に傍線]・喚《ヨ》
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