に伴ふ諸神礼遇の加重などが、其である。延喜式祝詞は、さうした紛糾から解いてかゝらねば、実は隈ない理会は出来ないのである。
と[#「と」に傍線]と言ふ語《ことば》が、神事の座或は、神事執行の中心様式を示すものであつたらうと言ふことは、既に述べた。恐らくは神座・机・発言者などの位置のとり方について言ふものらしいのである。ことゞ[#「ことゞ」に傍線]・とこひど[#「とこひど」に傍線](咀戸)・千座置戸《チクラオキド》(くら[#「くら」に傍線]とと[#「と」に傍線]とは同義語)・祓戸《ハラヘド》・くみど[#「くみど」に傍線]などのと[#「と」に傍線]は、同時に亦のりと[#「のりと」に傍線]のと[#「と」に傍線]でもあつた。宣る時の神事様式を示す語で、詔旨を宣べる人の座を斥《サ》して言つたものらしい。即、平安朝以後|始中終《しよつちゆう》見えた祝詞座・祝詞屋の原始的なものであらう。其のりと[#「のりと」に傍線]に於て発する詞章である処からのりと[#「のりと」に傍線]詞《ゴト》なのであつた。天《アマ》つのりと[#「つのりと」に傍線]とは天上の――或は其式を伝へた神秘の――祝詞座即、高御座《タカミク
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