つた。宮廷の大祓へに伴ふ主上の御贖《オンアガナ》ひの節折《ヨヲ》りの式にも、此があつた。上元の行事たる踏歌節会《タウカノセチヱ》の夜に、ことほきびと[#「ことほきびと」に傍線]の高巾子《カウコンジ》などにやつした異風行列の練り歩くのも、此群行のなごりである。


[#3字下げ]叙事詩の成立と其展開と[#「叙事詩の成立と其展開と」は大見出し]

[#5字下げ]一 呪言から叙事詩・宮廷詩へ[#「一 呪言から叙事詩・宮廷詩へ」は中見出し]

祭文《サイモン》・歌祭文などの出発点たる唱門師《シヨモジン》祭文・山伏祭文などは、明らかに、卜部や陰陽師の祭文から出て居る。祝詞・寿詞に対する護詞《イハヒゴト》の出で、寺の講式の祭文とは別であつたやうだ。だが此には、練道《レンダウ》・群行《グンギヤウ》の守護神に扮装した来臨者の諷誦するものと言ふ条件がついて居た様である。
詔旨《ノリト》と奏詞《ヨゴト》との間に「護詞《イハヒゴト》」と言ふものがあつて、古詞章の一つとして行はれて居た。奈良以前からの用例に拠れば、此はよごと[#「よごと」に傍線]と言ふ方が適当らしいのに、其中の一部、伝承の古い物には、のりと[
前へ 次へ
全137ページ中34ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング