呪言から出た行事に相違ないが、此もよみの国[#「よみの国」に傍線]を背景にしてゐる。
ことゞ[#「ことゞ」に傍線]と言ふ語は、よもつひら阪[#「よもつひら阪」に傍線]の条では、絶縁の誓約の様に説かれてゐるが、用例が一つしか残つて居ない為の誤解であらう。興台産霊《コトヾムスビ》の字面がよくことゞ[#「ことゞ」に傍線]の義を示してゐる。ことゞふ[#「ことゞふ」に傍線]は、かけあひ[#「かけあひ」に傍線]の詞を挑みかける義で、※[#「女+櫂のつくり」、第3水準1−15−93]歌会《カヾヒ》の場《ニハ》などに言ふのは、覆奏を促す呪言の形式を見せて居る。ことあげ[#「ことあげ」に傍線]はことゞあげ[#「ことゞあげ」に傍線]の音脱らしく、対抗者の種姓を暴露して、屈服させる呪言の発言法であつた。紀に泉津守道《ヨモツチモリ》・菊理《クヽリ》媛など言ふよみ[#「よみ」に傍線]の精霊が現れる処に「言ふことあり」「白す言あり」など書いたのは、呪言となつた詞章のあつた事を示してゐるのであらう。又唾を吐いた時に化成した泉津事解之男《ヨモツコトサカノヲ》は、呪言に関係した運命定めの神である。呪咀をとこふ[#「とこ
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