せう。
だから地方に依ると、なあもし[#「なあもし」に傍線]がなし[#「なし」に傍線]となつたりのし[#「のし」に傍線]となつたりする、色々な形があります。この系統は日本全国に拡つてをります。そして皆、形が変つてをります。のうし[#「のうし」に傍線]と言ふのがあるかと思ふと、なあも[#「なあも」に傍線]と言ふのがある、なあも[#「なあも」に傍線]があるかと思ふとねえも[#「ねえも」に傍線]がある。偶々離れた処になも[#「なも」に傍線]があつたりしてゐます。のし[#「のし」に傍線]となも[#「なも」に傍線]と比べてみると不思議に思はれますけれども、これは必ず、ある時期に、なあもし[#「なあもし」に傍線]が流行して来たものなのでせう。今よく流行つてゐる、「ねえ、あなた」と言ふのと同じことですが、昔の人は流行語と言ふものに権威を認めてゐる。だから、刺戟がなくなつても、すぐに捨てる様な事はしないで、何百年も守らうとしてゐる。そしてなも[#「なも」に傍線]と言ふやうな言葉を拵へるのでせう。それから類推して、えも[#「えも」に傍線]などゝ言ふ言葉を拵へた上に、きゃあも[#「きゃあも」に傍線]などゝ
前へ
次へ
全90ページ中84ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング