言ふ言葉を作り、なにかなも[#「なにかなも」に傍線]、なにかいも[#「なにかいも」に傍線]、なにかえも[#「なにかえも」に傍線]と言ふ形になるのでせう。
名古屋のことばかり噂すれば叱られるかも知れませんが、私の生れた大阪の言葉を出して見ますと、さかい[#「さかい」に傍線]と言ふ言葉、よつて[#「よつて」に傍線]と言ふ言葉を使ひますが、に[#「に」に傍線]を抜く言葉は平安朝にも一遍あつたんです。そのまゝ残つてゐる訣ではありませんけれども、平安朝に京都を中心に行はれました事が一時忘れられ、又はやりだして来たんでせう。ところ/″\に[#「に」に傍線]を抜いて短くします。なによつて[#「なによつて」に傍線]、なにやさかい[#「なにやさかい」に傍線]、さかいに[#「さかいに」に傍線]と色々あります。私達はさかい[#「さかい」に傍線]と言ふ言葉だけ使ふとなんだか身分の卑しい気が致します。それで私はさかい[#「さかい」に傍線]を避けて、よつて[#「よつて」に傍線]を使ふ人種です。ですから私はそんなことを言ふ筈はないのですけれども、らぢお[#「らぢお」に傍線]で放送した時にさかい[#「さかい」に傍線]
前へ 次へ
全90ページ中85ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング