て、太鼓を叩いて町を練つて歩いたのです。小町踊りと名前こそ言はないけれども、私共も生れた大阪の町でやつて参りました。お盆より前に止めてしまふのですけれども、我々は夏中やつてをりました。それは一つの練習だと言ふ事が訣るのです。それが遊戯になるのです。つまり、遊戯と言ふものは、昔の儀礼の退歩なのですが、或意味からすると、儀礼をば保存してゐるもの、儀礼をば保存しようとしてゐると言ふ形だ、と言ふ観方もある訣です。
只今の場合では言語遊戯ですが、この、国語の遊戯に関するものも、非常に種類がありまして、これもなか/\申し切れませんが、話を簡単に致します為に、少し聯絡が切れ勝ちになりますが、先づ諺と言ふものから申し上げたいと存じます。
諺と言ふものは、只今考へてゐるのとは非常に違ふのです。つまり、諺と言ふものは、一番さしさはりのない言ひ方では、「言ひ慣はし」と言ふ事に過ぎない。ところが我々の一部でも、諺と言へば、なんか社会的訓諭の意味を持つた短い言葉だと言ふ風に言はれてをりますが、日本の諺の歴史を見ると言ふと、そんな事はなくなつてしまふ。諺と言ふ言葉は、これも語源が訣つた方がいゝのですけれど、訣るや
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