に傍線]と言ふ言葉は、襟が高いと言ふ意味のはい・からあ[#「はい・からあ」に傍線]を、「灰殻」と宛て字を書いてもいゝやうな、さう言ふ内容をもつて来てをつたのでせう。それで「灰の殻」として、しきりに使はれてをりましたが、その灰殻と言ふ記号をば飛越えて飛躍し、はいから[#「はいから」に傍線]と言ふ言葉が、非常に使はれ行はれて来ました。さうしてそのはいから[#「はいから」に傍線]と言ふ言葉も、だん/\良い内容を持つて来て、つまり、鼻持ちのならぬきざな奴、むしづの走る奴などゝ言ふ意味が、遂にはだん/\なくなつて来たのでせう。そして、我々が昔からもつてゐた考へ方を、又復活させて来たのです。
戦国の終りから江戸の始めにかけて申したあのかぶき[#「かぶき」に傍線]と言ふ言葉、それから六法《ロツパウ》、かんかつ[#「かんかつ」に傍線]などゝ、色々な言葉がありますね。その時代々々に依つて、少しづゝ意味は変つて来るけれども、兎に角、近代的で、乱暴で、而もえろちっく[#「えろちっく」に傍線]で、刺戟の強いものを表す言葉になつたのでせう。併し、時々さう言ふ考へだけが、型を落してしまつて浮動してゐる事があるんで
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