である。
その後、大直日・神直日二神をまつると、唱へごとに誤りがあつた場合に、其を訂正してくれた。
平安朝の宮廷では、朝賀の式が済むと、大直日の祭りに相当する事が行はれた。此を分けて、大直日の祭りと、御歌会との二とする。大直日の祭りは、朝賀の式に接して行はれたが、神を祭るだけではなく、其時奉る言葉に、誤りがあつてはならないので、訂正の意味で、これを行ふのである。この大直日の祭りの時に、歌を歌ふ。
古今集巻二十の巻頭に、大直日の歌がある。此が、正月にあるのはをかしいと言ふが、大直日だから、正月にもあるのである。
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あたらしき年のはじめにかくしこそ ちとせをかねて たのしきをへめ(つめ[#「つめ」に傍線]とあるのは、疑ひもなくへめ[#「へめ」に傍線]の誤り)
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此は、奈良朝の歌(続日本紀)の形を、少し変へて伝へてゐたのである。其で見ると、大直日の祭りが、朝賀の式に接して行はれてゐたことがわかる。実は御歌会と、大直日の祭りとは、同じものであつたのが、分裂して、別のものゝやうになつて来たのである。
御歌会の時には、男女が両方に分れる。其時の主体は、
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