代の、宮西惟喬さんを煩した物も二三ある。
古い物では、家の鈴木金太郎や、油絵の伊原宇三郎さん・水木直箭さん・牛島軍平さん・三上永人さん・今泉忠義さんなどにおしつけて、筆記や、書き替へをして貰うた横著の記憶がある。
近いところでは、袖山富吉さん・小池元男さん・小林謹一さん・向山武男さん・岡本佐※[#「低のつくり」、第3水準1−86−47]雄さん等の講演のうと[#「のうと」に傍線]も、貸して貰うた。速記者のとつてくれたのも、少しあるが、殊に、認識不十分・表現不完全な、昂《カミ》づった様なものになつてゐる。大岡山が、さう言ふ物までも、一応まとめて置くがよからう、と慂めてくれたから、つひ[#「つひ」に傍点]其気になつたのである。
今になつて、出さなかつたらよかつた、と思はれる未熟な論や、消え入りたい文句などが、ひよい/\と思ひ出される。大方《たいはう》の同情を以て、見のがして置いて頂きたい。あまり恥しいのは、却て何時か、書き直す衝動をつくることになり相に思ふ。
此本は三冊ながら、極めて不心切なところの多いのをおわびする。殊に、文章を解説するはずの写真図が、肝腎の本文なしに挿まれてゐて、却て画の
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