書中に、みぬま[#「みぬま」に傍線]・みづは[#「みづは」に傍線]・みるめ[#「みるめ」に傍線]・みぬめ[#「みぬめ」に傍線]・みつま[#「みつま」に傍線]・ひぬま[#「ひぬま」に傍線]・ひるめ[#「ひるめ」に傍線]等の形式変化と共に、内容も亦移つて居る事を述べた。而も、聖水及び聖水の使用処なるみつ[#「みつ」に傍線]と言ふ語のみ[#「み」に傍線]は、敬称接頭語と見る俗間語原観から、游離して、つ[#「つ」に傍線]――津――なる単語を発生するに到つた。かうした過程は、つ[#「つ」に傍線]なる単語を、最初のものと定める見地からは、考へられるはずのないものである。そのみつ[#「みつ」に傍線]すら亦聖水以前に、数次の意義変化が考へられる。
又、はな[#「はな」に傍線]と言ふ語にしても、我々は、咲く花を初めから表したものと見て、合理的に語原を考へる。だが、その前に既に、兆象の意義に用ゐられた。農作の豊かなるべきを示すものとして、野山に咲くものを、はな[#「はな」に傍線]と名づけた。兆象の永続せぬ事を見て、脆いことの形容にも、予期に反し易い処から、信頼し難い意にも転用して、はなもの[#「はなもの」
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