てくゞつ[#「てくゞつ」に傍線]人形の略語が、でく[#「でく」に傍線]人形となつたのであらう。今一流は、早く大人《オホビト》と融合して、大社々々の細男・青農となつた。
細男側の才の男は、離宮《リキウ》八幡のものゝ様に、手の動くものもあるが、多くは、単なる偶像となつて、形の上から見ると、恰も、一つもの[#「一つもの」に傍点]ゝ人形と同じ様に、祭りの行列の最初に練《ネ》つて行く。
一つもの[#「一つもの」に傍点]にも、人形と人間との二通りがある。従来の考へ方では、此は尸童《ヨリマシ》系統のものであるから、人間を本態とする事になつて居るが、併し、人形を以つてする形式も多い事だし、旁《かたがた》、どちらを先ともきめられない様である。
志賀《シカ》[#(ノ)]島《シマ》の祭りに、お迎へ人形の出ることは、海部《アマベ》の民と、八幡神の信仰とが結びついて居る、一つの記念と見られる。海部の民も、人形《ニンギヤウ》を重んじた。これが、くゞつ[#「くゞつ」に傍線]の人形舞はし・ゑびすかき[#「ゑびすかき」に傍線]にまで、続くのである。
くゞつ[#「くゞつ」に傍線]と人形との関係は、平安朝中期以後の材料と、
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