[#「ひな」に傍線]の研究には、此材料の解剖が、大事だと思ふ。或は、かうした風が東国にあつて、後に西から上つて来た神明の人形舞はしと結びついた、と言ふ風な事も考へられぬではない。
更に、おひら[#「おひら」に傍線]様について考へて見たい事は、此は男女一対を、本体と見るべきか否かである。私の考へるところでは、女並びに馬の形をした男性の人形、此二つが揃うて、初めて完全たおひら[#「おひら」に傍線]様になるので、其が偶、一つだけ用ゐられると言ふやうな形も、出来たのだと思はれる。
十五 おひら[#「おひら」に傍線]様の正体
今日、東北に残つて居るおひら[#「おひら」に傍線]様だけで見ると、必しも、夫婦である事を本体として居る、とは断言出来ない。けれども時には、男を、馬頭を戴いたもの、或は全体馬としたものに配するに、女体のものを以てして居る。そして此をおひら[#「おひら」に傍線]様の普通の形だ、と見て居る処もある。おひら[#「おひら」に傍線]様に関した由来を、其祭文によつて見ると、疑ひもなく、かうした一対のものを原則としたと見てよい。其二つを、祭文を語り乍ら遊ばせたのである。だから
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