、沢山のくゞつ[#「くゞつ」に傍線]も交つて居た事は考へてよい。私は、くゞつ[#「くゞつ」に傍線]・傀儡子《クワイライシ》同種説は、信ずる事が出来ないで居るが、くゞつ[#「くゞつ」に傍線]の名に宛て字せられた、傀儡子の生活と、何処までも、不思議に合うて居るのは、事実である。
くゞつ[#「くゞつ」に傍線]の民の女が、人形を舞はした事は、平安朝の中期に文献がある。其盛んに見えたのは、真に突如として、室町の頃からであるが、以前にも、所々方々に、下級の神人《ジンニン》や、くゞつ[#「くゞつ」に傍線]の手によつて行はれて居た。此団体が、摂津広田の西[#(ノ)]宮から起つた様に見えるのは、恐らく、新式であつた為、都人士に歓ばれたからであらう。
西[#(ノ)]宮一社について見れば、祭り毎に、海のあなたから来り臨む神の形代《カタシロ》としての人形《ニンギヤウ》に、神の身ぶりを演じさせて居たのが、うかれびと[#「うかれびと」に傍線]の祝言に使はれた為に、門芸《カドゲイ》としての第一歩を、演芸の方に踏み入れる事になつたのだと思はれる。
二 八幡神の伴神
祭礼に人形《ニンギヤウ》を持ち出す社は
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