の植物の説明が附いて来る。
此等の木は、たぐさ[#「たぐさ」に傍線]として、呪《まじな》ひをする木と言ふ事である。たぐさ[#「たぐさ」に傍線]は踊りを踊る時に、手に持つ物で、呪術の力を発揮するものである。こゝに、とうてみずむ[#「とうてみずむ」に傍線]としての植物に関聯したものゝ俤が見える。
とうてみずむ[#「とうてみずむ」に傍線]について、私のまづ動かないと思ふ考へは、吾々と吾々の祖先とが鉱物なり、動物なり、植物なりから分れて来た元の形が、それだとするのではなく、また、吾々の生活条件に必要なあるものから、吾々が、分岐して来た其もの、即、生活条件が吾々と並行して居るものとするのでもない。私は、とうてみずむ[#「とうてみずむ」に傍線]は、吾々のまな[#「まな」に傍線]の信仰と密接して居るもの、とするのである。吾々と同一のまな[#「まな」に傍線]には、動物に宿るものもあり、植物に宿るものもあり、或は鉱物に宿るものもある。そして、吾々と同一のまな[#「まな」に傍線]が宿る植物なり、動物なりを使用すれば、呪力が附加すると信じて居たのだ。此を古語で「成る」と言ふ。「成る」は内在する事で、其中へ物
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