花の話
折口信夫
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)迯《に》げ水
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)普通|舞屋《マヒヤ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)黒※[#「巾+責」、第3水準1−84−11]
[#(…)]:訓点送り仮名
(例)柘《ツミ》[#(ノ)]枝《エ》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)どん/\と
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一
茲には主として、神事に使はれた花の事を概括して、話して見たいと思ふ。
平安朝中頃の歌の主題になつて居た歌枕の中に、特に、非常な興味を持たれたものは、東国の歌枕である。
東国のものは、異国趣味を附帯して、特別に歌人等の歓迎を受けた。其が未だに吾々の間に勢力を持つて居る。譬へば関東には「迯《に》げ水」の実在が信ぜられて居た。それは、先へ行けば行く程、水が逃げて行くと考へられて居たものである。又「入間《イルマ》言葉」なども、大分後になつて、歌枕に這入つて来た。其は
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