以である。
たまふり[#「たまふり」に傍線]には、鎮魂を行ふ意味と、魂を分割する意味とがある。春夏秋冬の冬は、魂の分割を考へた時代に出来た名であると思ふ。
冬の時期には、山びとが山苞《ヤマヅト》を持つて出て来る。山苞の中の寄生木《ホヤ》(昔はほよ[#「ほよ」に傍線])は、魂を分割する木の意味でふゆ[#「ふゆ」に傍線]と言ふのである。初春の飾りに使ふ栢《カヘ》(榧)も、変化の意で、元へ戻る、即、回・還の意味である。かは[#「かは」に傍線]・かひ[#「かひ」に傍線]・かふ[#「かふ」に傍線]・かふ[#「かふ」に傍線]・かへ[#「かへ」に傍線]と活き、同時に、かへ[#「かへ」に傍線]・かへ[#「かへ」に傍線]・かふ[#「かふ」に傍線]・かふる[#「かふる」に傍線]・かふれ[#「かふれ」に傍線]の活用をする故に、かへる[#「かへる」に傍線]・かふる[#「かふる」に傍線]とあつても同様である。栢の木は、物が元へ戻る徴《シルシ》の木であつた。此木をもつて、色々の作用を起させる。魂の分割の木は、寄生木で、春のかへる[#「かへる」に傍線]意味に、栢が使はれるのである。かう言へば、段々年末から春へかけて
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