来て、時の変り目に、内在魂が発散するから、此を防ぐ為の魂を鎮める行事となつた。此がたましづめ[#「たましづめ」に傍線]である。
たまふり[#「たまふり」に傍線]からたましづめ[#「たましづめ」に傍線]に変る中に、ふゆ[#「ふゆ」に傍線]なる増殖分岐を考へた。もとは人が魂を附加してくれる。此が、自分の魂の分岐増殖したのを、分けて与へる様になる。みたまのふゆ[#「みたまのふゆ」に傍線]は、此である。魂を祭る冬祭りと言ふ観念が、一緒にくつゝいて居る。御魂祭りは生人・死人の魂を祭る事である。平安朝時代は、専、御魂祭りをすると考へて居た。意味が固定して、古典的になつて居たのである。
以前は、みたまのふゆ[#「みたまのふゆ」に傍線]を「恩賚」と書いて居る。天皇の恩顧を蒙る事をみたまのふゆ[#「みたまのふゆ」に傍線]の義と考へて居るが、実は、天皇或は高貴の方の魂の分岐して居るのを貰ふ為に、恩賚と言ふのである。みたまのふゆ[#「みたまのふゆ」に傍線]は、魂の分岐したものを人に頒けてやる、其分れた魂、増殖した魂の事を言ふ。分割せられた魂を頒けて貰へば、自分も偉くなるので、其が、恩賚と宛てるやうになつた所
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