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金の網かゝれとてしも波の月(信章)
河童の生けどり[#「河童の生けどり」に白丸傍点]秋を悲しむ(同)
うそ噺聞けばそなたは荻の声(桃青)
地獄のゆふべさうもあらうか(章)
飛ぶ蛍水は却つて燃え上り(青)
熊手鳶宮勢多の長橋[#「勢多の長橋」に白丸傍点](章)
釣瓶とり龍宮までも探すらむ[#「釣瓶とり龍宮までも探すらむ」に白丸傍点](青)
亀は忽下女と現れ[#「亀は忽下女と現れ」に白丸傍点](章) (江戸両吟集)
[#ここで字下げ終わり]
河童の聯想が尚きれないで、四句隔てた勢多の長橋に刺戟せられて復活してゐる。釣瓶とりの句も其だ。亀の下女も其だ。たゞ河童の下女を逃げたゞけである。私どもから言はせればやつぱり打ち越し[#「打ち越し」に傍点]である。
五 頭の皿
水の神が、膳椀ばかり貸してくれた理由は、わかつたとしても、どこかやはり落ちつかぬ処がある。客ぶるまひの木具を貸す事になつた隠れた原因は、二つあげて置きたい。饗応を受けに来る正客は、水の神自身だつたらしいこと、河童の皿の、なぜ問題になるのかといふ事の説明である。農村の饗宴に臨む者は、色々な形に変化はしてゐて
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