りも、更に大きな補助を、島袋源七・比嘉春潮二氏の報告から得ました。
此中で(一)は最、常世人に近い形であります。海の彼方なる大《オホ》やまと[#「やまと」に傍線]――又は、あんがまあ[#「あんがまあ」に傍線]と言ふ国があると考へたのが変じて、其行事又は群行の名としたのらしい――から、祖霊の男女二体及び、其他故人になつた村人の亡霊の来る日を、盂蘭盆に習合したので、其又一つ前には、初春を意味する清明節に、常世人として来た事が考へられます。此中心になる大主前《ウシユメイ》と言はれる老夫――老女《アツパア》を伴ふ――が時々立つて、訓戒・教導・祝福などを述べるのであります。其間に、眷属どもの芸尽しがあります。
此からしても、内地の古記録から考へられる常世のまれびと[#「常世のまれびと」に傍線]の元の姿はやゝ、明るくなつて来ます。此と通じてゐるのは(三)の式であります。此は村踊りと言ひ、又村芝居とも言はれてゐます。祖霊を一体の長者の大主とし、眷属の霊を一行としたものです。さうして今は、其本処の考へを忘れてゐますが、他界の聖地から来たものに違ひありません。親雲上は、其等の群行から、正面に祝福を受ける
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