人として、予め一行を待つ形が変つたのでせう。其に、儀来の大主を加へたのは、長者大主一行の本義の忘れられた為、更に祝福の神を考へ出したのです。
此が変じて(二)になると、色々の形に変化してゐます。なるこ神[#「なるこ神」に傍線]・てるこ神[#「てるこ神」に傍線]と言ふ二体の、聖なる彼岸の国主とするのもあり、唯の一体の海神《ウンヂヤミ》とする処もあります。もつと純化しては、海の向うのにらい[#「にらい」に傍線]・かない[#「かない」に傍線]の国の神とし、更に天上の神として、おぼつ[#「おぼつ」に傍線]・かぐら[#「かぐら」に傍線]と言ふ其国を考へてゐます。其史実化したのが、あまみきょ[#「あまみきょ」に傍線]・しねりきょ[#「しねりきょ」に傍線]の夫婦神です。先島《サキジマ》の中には、まやの国[#「まやの国」に傍線]といふ彼岸の聖地から、まやの神[#「まやの神」に傍線]及びともまや[#「ともまや」に傍線]と称する神が来るとしてゐるものもあつて、此は、蒲葵《クバ》の簑笠を被つた異形神であります。同じく、先島諸島に多く、あかまた[#「あかまた」に傍線]・くろまた[#「くろまた」に傍線]など言ふ
前へ
次へ
全63ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング