にすぎぬ、といふことになるのではあるけれど、今は、これ等についていふ場合でないから、わか[#「わか」に傍線]だけに、述べる事にする。
自分は、わか[#「わか」に傍線]といふ語の源に溯つて、わ・くといふ動詞に想到した。
これまでよんだ、きはめてすこしの本のうちでは、まだわ・くといふ動詞に逢着することが出来なかつた。けれども必ず、あつた語に相違ないと信じて居る。
[#ここから2字下げ]
わき―いらつこ
わき―いかづち
わく―ご
[#ここで字下げ終わり]
などの、わき[#「わき」に傍線]・わく[#「わく」に傍線]は、どうも、音転ではない様で、おい―びと、といふのと、わき―いらつこ、といふのとは、語気から見ても、おなじく、連用言のやうだし、わく―ごのわく[#「わく」に傍線]は、なぐ[#「なぐ」に傍線]―矢、いく[#「いく」に傍線]―弓矢などの如く、連体法のらしく、思はれる。
更に、推量の歩を進めれば、賀茂の別《ワケ》雷神のわけ[#「わけ」に傍点]には、若といふ意が、含まつて居はすまいか。神名帳に、賀茂別雷神社、亦若雷とあるのは、有力な証拠である。之を別の字義にばかりかゝはつて説くのは、どうであ
前へ
次へ
全12ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング