らつぱ」に傍線]
あまりに有名だから、名を出してもいゝだらう。蜂須賀家の祖先小六は、それの有名な一人である。彼が地位を得たのは、豊臣氏が栄えたからである。
彼等は、海道筋を上り下りする中に、一定の檀那(擁護者)を得たものが落ちつき、其を得ないものがうろつく。そして其中には落伍者が出来たので、其単独のものがすり[#「すり」に傍線]となり、団体的のものはすつぱ[#「すつぱ」に傍線]・らつぱ[#「らつぱ」に傍線]と言はれた。いづれも盗人職だつたのである。職人とは土地を持たないものを謂うたので、髪結ひを女工業と言うたなどは、職人の直訳とも見られる。ともかくも、当時はさうした盗人職・ごろつき[#「ごろつき」に傍線]職が厳然として存在してゐたのであつた。尤、現在だつて不思議な団体があつて、而も彼等は厳然として存在してゐるのである。
すり[#「すり」に傍線]は、すり[#「すり」に傍線]といふ道具をもつて歩いた団体だともいひ、旅人の旅具をすり替へることから、さう呼ばれるやうになつたのだとも言ふが、恐らくはほかひ[#「ほかひ」に傍線]・くゞつ[#「くゞつ」に傍線]などゝ同じやうに、旅行者の持つて歩いた
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