ごろつきの話
折口信夫

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)無頼漢《ゴロツキ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ごろつき[#「ごろつき」に傍線]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ごろ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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     一 ごろつき[#「ごろつき」に傍線]の意味

無頼漢《ゴロツキ》などゝいへば、社会の瘤のやうなものとしか考へて居られぬ。だが、嘗て、日本では此無頼漢が、社会の大なる要素をなした時代がある。のみならず、芸術の上の運動には、殊に大きな力を致したと見られるのである。
ごろつき[#「ごろつき」に傍線]の意味に就ては、二様に考へられてゐる。雷がごろ/\[#「ごろ/\」に傍点]鳴るやうに威嚇して歩くからだともいふが、事実はさうでなく、石塊がごろ/\[#「ごろ/\」に傍点]してゐるやうな生活をしてゐる者、といふ意味だと思ふ。徳川時代には、無宿者・無職者・無職渡世などいふ言葉で表されてゐるが、最早其頃になつては、大体表面から消えてしまうたと言へるのである。
ごろつ
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