うけひ[#「うけひ」に傍線]の中、神判を待つ態度のものは既に、ちかひ[#「ちかひ」に傍線]の要素を顕して来たものである。此誓言は偽りでない。若しも嘘であるなら、どんな不思議な結果でも、神が表して見せるであらう。かうした考へに立つて居るのである。うけひ[#「うけひ」に傍線]の場合にも、いろ/\むつかしい「ほ」を乞ふ習慣があつた。其観念を更に誇張して来たのであるから、ちかひ[#「ちかひ」に傍線]に殆ど、不可能な「ほ」の現れを約する事に成るのである。が最注意せねばならぬ点は、将来の現象を「ほ」としようと約したかどうかと言ふ処である。今日残つた文献の上のちかひ[#「ちかひ」に傍線]の詞は、大抵この言に偽りあらば、今後……言ふ風になるだらうと言うた風に見えるが、実はさうではなかつた。此誓言に対しては、神が責任を負うてゐる。目前[#「目前」に白丸傍点]現状を覆す様な現象が起るであらう。かうした表現法なので、神を中介とする時には虚言は出来ぬと言ふ信仰の基礎に立てばこそ、こんな方式も認められてゐたのである。神罰至つてみせしめ[#「みせしめ」に傍点]に不思議な有様を現じるだらうとするのは、後の考へ方であ
前へ
次へ
全32ページ中15ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング