、無格社五万千五百六十六、計五万七千二百三十八社を合併しおわり、目下合併準備中のもの、府県社一、郷社十二、村社三千五百、無格社一万八千九百、計二万二千四百十三社あり。残れる十一万ばかりの神社もなお減ずべき見込み多ければ、本年度より地方官を督励して一層これを整理し、また一方には神社境内にある社地を整理せしむべし、とその筋の意嚮を載せたり。また当局は、合祀によって郷党の信仰心を高め、おびただしく基本金を集め得たる等、その効果著し、と言明する由を記せり。
そもそも全国で合祀励行、官公吏が神社を勦蕩《そうとう》滅却せる功名高誉とりどりなる中に、伊勢、熊野とて、長寛年中に両神の優劣を勅問ありしほど神威高く、したがって神社の数はなはだ多かり、士民の尊崇もっとも厚かりし三重と和歌山の二県で、由緒古き名社の濫併《らんぺい》、もっとも酷《ひど》く行なわれたるぞ珍事なる。すなわち三重県の合併はもっともはなはだしく、昨年六月までに五千五百四十七社を減じて九百四十二社、すなわち在来社数のわずかに七分一ばかり残る。次は和歌山県で、昨年十一月までに三千七百社を六百社、すなわち従前数の六分一ばかりに減じ、今もます
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